陽と陽が重なる日 9月9日

一年を通して5つの節句があることをご存じでしょうか?

 

そのうちのあまり現代人にはなじみのない重陽9月9日「菊の節句」とはどのような意味をもつ日なのでしょう?

 

 

奇数が陽、偶数が陰

 

9という数字は一桁の奇数で一番大きな数です。

 

陽は生命エネルギーが激しく上昇し高揚した状態を表します。

 

9と9が重なる日は最も強いエネルギーを意味する陽が重なる日といえます。

 

 

陰陽転化

 

陰陽はそのエネルギーがピークを迎えると転化を起こします。

 

陰極まりて陽に転ず

 

陽極まりて陰に転ず

 

どちらも高まりすぎたエネルギーが逆転現象を起こしますのでその逆転の勢いはなるべく緩やかである方がいいことはなんとなくわかります。

 

とくに、勢いの強い陽の昇り竜が陽の極みに達したときには、あとは降りるしかありませんのでかえって険難を招く恐れがあるのです。

 

最も強い陽の重なる日はまるで驕り高ぶった亢龍が一気に失速し衰退していくという危険をはらんだ日ともいえるわけです。

 

このような険難を防ぐために、陰の要素を自分の中に備えるといった険難回避の知恵がこの「重陽」菊の節句には含まれているのではないかと推察できます。

 

陰の性質

 

「陰」とは熱を冷ます、潤いを与える、従順、柔らかといった意味をもちます。

 

これらを形にしたら「菊の花」がぴったりとその象意を表しているように思います。

 

実際「菊花」は中医学的にも涼性で熱を下げる作用や消炎作用の生薬として利用します。

 

体に「菊花」を用いて陰の性質を取り入れるというわけです。

 

 

さて、心も「陰」の柔らかさ、素直さ、地に足をつけたどっしりとした母のような愛を取り戻す日にしたいなあと思った今日この頃です。

 

 

 

余談ですが、今回(2021年)の重陽の9月9日は九星において六白金星が中宮に鎮座した年であり、酉金の月、申金の日と金が勢ぞろいの日です。

 

金は「天」、「乾」あらわし、強い陽を象徴します。

 

それだけ今回の強い重陽は天地が一気にひっくり返るような陰陽転化を起こすきっかけになりそうですね。

 

 

世の中の陰陽転化は観察しつつ、あくまでも自分自身には「陰」を備えて険難を回避したいものです。